"がばい(すごい)"大ヒット!
4月22日、「佐賀のがばいばあちゃん」は全国に先駆けて九州地区13館で先行公開となった。初日2日の観客動員は8,426名、興行収入10,186,000円に達する好調なスタートになった。ちなみに、この数字は昨年ヒットした「ALWAYS3丁目の夕日」の九州地区当初公開24館の成績に迫る勢いで、同作品上映9館での動員対比は175%に及ぶものだ。
初日当日は朝から雨模様。この日は、佐賀、福岡の上映館6館での舞台挨拶だった。原作者の島田洋七さんはじめ配給、宣伝のスタッフ一行は空を覆う雨雲を眺めてお客さんの入りを心配しながら、先ずはイオンシネマ佐賀大和に向かった。上映開始30分前の午前10時、「打ち込み」と呼ばれる最初の回は既に250席が完売となっていた。
島田洋七さんとわたしは舞台挨拶に立った。満席のお客さんを前に洋七さんが切り出す。「さっき佐賀の市内では3人しか人を見かけなかったけれど、人はここにいたんですね。ここは佐賀で一番人口密度が高いところです」と客席を沸かせ、ふだん映画館に来ないじいちゃん、ばあちゃんが何十年かぶりに子や孫と出かけてきたことの素晴らしさを強調した。
わたしは「佐賀、九州からミラクルを起こしたい」と言いながら、客席からの強烈な視線を感じていた。映画への期待感、これからなにか面白い事が体験できるかもしれないという思いがひしひしと伝わってくる。初日を待ち望んでいた人たちが、お金を出してわざわざ劇場に足を運ぶ、その熱い思いに、これまで経験したことのない感動を覚えて興奮する瞬間だった。製作者と観客が作品を前にして直接に向き合うことの喜びは、映画ならではの喜びだった。あいにくの雨は恵みの雨となり、まさに天が与えてくれた朝となった。
移動の車中で、わたしは「お客様は神様です」という、その意味をあらためて考えていた。横から、この映画の配給を快く引き受けていただき、配給と宣伝の統括者であるティ・ジョイの與田尚志部長がにこにこしながらわたしに言った。「監督、映画にはまりましたね」。
こうして、私たちは望外の好成績でスタートがきれたのだったが、これは長い戦いの端緒にすぎない。6月3日の全国公開に向けて、興行の本当の勝負はこれからだ。大きな物量で宣伝展開する経済力をもたないわたしたちにあるのは、関わるスタッッフのひとりひとりの情熱と汗、そして映画を見ていただいた人々の熱だけである。
おりしも、3月の香港フィルマートでこの作品を見た台湾の配給会社は早々に9月の公開を決定し、さらに上海国際映画祭からもエントリー要請が飛び込んできている。「がばい」の旋風を日本そして世界に吹かせたい。
(2006年5月)