4月はテレビ界の正月、装いもあらたにした番組がはじまる季節だ。わたしたちの意欲を刺激し、ヤラレタ!と思わせる番組にいくつ出会えるか、と制作者の誰しもが思う。しかし、ここ数年そうした期待に応えるレギュラー番組は数少なく、年間数本の単発番組だけが、放送する側と作り手側の志を感じさせ大いに制作意欲をかき立てるというのが正直なところだった。
わたしは、昨年度のATP賞の審査員として、各社から応募があった数十本の、ドラマ、ドキュメンタリー、情報・バラエティの各ジャンルの番組を見た。これは、いまのテレビの状況を理解する格好の機会となったのだが、数回にわたる審査会の結果、優秀番組に選ばれた番組はわずかにドラマのレギュラー番組を除いてほとんど単発のものが占めた。
テレビが日常的なメディアであるとするならば、定時に放送されるレギュラー番組こそ本来的な姿だと思う。単発番組はその多くが「特番」と称されるように特別なもの、非日常的なものである。長期間取材し、厚く深く構成する単発番組に比して、見る側も作る側も日常の生活のなかでの皮膚感覚や社会事象への関心をより率直に反映させ、視聴者と制作者が互いに情報を共有し、共感し、共生していくメディアの基本形としてあるのがテレビのレギュラー番組だと思う。テレビが健全なメディアである理由はそこにある。今回の「発掘!あるある大事典」のねつ造問題は、そうした日常の感覚の上に立つ「テレビの基本」を裏切った点でいっそう罪が重いのだと、わたしは考える。
(3月23日、「発掘!あるある大事典」問題で有識者からなる調査委員会の調査報告書が発表された。154ページにわたる詳細な報告は、きわめて精度の高い調査内容と再発防止に向けた示唆に富む提言が盛り込まれている。
なお、報告書の全文は、下記の関西テレビ放送のHPで公開されている。
http://www.ktv.co.jp/aruaru/070323/chousahoukokusyo.pdf )
ともあれ、現在アマゾンでは31のプロジェクトが動いている。そのうち4月に新たにスタートするレギュラー番組は6番組。視聴者の日常感覚を共にする番組をめざしている。がんばる。
(2007年4月)