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【第45回】新しい組織への模索
倉内 均

「映像新聞」(発行:映像新聞社)12月24日号に、「テレビ番組制作会社ZOOM UP」でアマゾンがとりあげられ、押切祐治記者によるわたしのインタビュー記事が掲載された。
以下、記事(抜粋)を紹介させていただくことで、新年のご挨拶としたい。


『アマゾン(東京都渋谷区)は、2008年4月で創立20周年を迎える映像制作会社だ。得意とするのは、科学番組とトーク番組。会社の原型を作ったのは『紺野美沙子の科学館』(84年10月—99年3月=テレビ朝日)と『Ryu's Bar 気ままにいい夜』(87年10月—91年3月=MBS/TBS)だと倉内均代表取締役は話す。06年には映画製作にもチャレンジし、『佐賀のがばいばあちゃん』は、ベルリン・アジア太平洋映画祭のグランプリを受賞した。(押切祐治)

来年(注:2008年)創業20周年を迎えますが、会社としての変化は?
 「創立以来の社員が育ち、プロデューサーやディレクターとして、それぞれの得意な分野、やりたいことが明確になってきています。それがテレビ局の人にも『彼にならこの番組が任せられるのではないか』と認識されるような状態を生んだのだと思います。そのような人材が育ったということが、当社の財産です」

人材が育ち、社長の役割は変わりましたか?
 「創業時は社員が若かったので、どんな局面にも社長が出ていき相手と折衝したのですが、今は完全にプロデューサーやディレクターに任せています。自立したスタッフがいれば、予算管理もスケジュールコントロールも問題ない。本来、制作会社というのは社長なんていらない。社長の号令一過とか、社長のカラーなどない方がいいのでしょうが、それは規模によると思います。当社は、現在80−90人のスタッフが常時動いています。これが100人を超えると、管理する人が必要になります。現状は過渡期かもしれません」
 「ただし、突出したプロデューサーやディレクターがいるだけでは、今後面白い番組や新しい番組の制作は、できないのではないかと思います。新しい集団であったり、組織として面白かったりしなければ、新しい番組は絶対に作れないでしょう。先ほどの言葉と矛盾しますが、新しい組織、新しい集団のあり方を絶えず考えて、それをリードできることが社長の最大の仕事ではないかと思います。社長のカラーを出さないという考え方と、社長が一番の縁の下の力持ちであるような形。そのような二つの道を意識して、新しい会社・組織を模索する。そんな考えを持っています」
 「そう考えるようになったきっかけは、84歳になる建築家を取材したことです。この人は日本の経済成長期に先鋭的な役割を果たしました。日本初の超高層ビル(霞ヶ関ビル)を建築するにあたり、建築家が指導者としてトップに立ち、その下で人が動くという形でやってきた従来の方法では太刀打ちできなかったというのです。そのために、各分野の専門家が、集団として組織的に機能することで成功したそうです。新しいものというのは、一人のカリスマの絶対的な能力で生まれるのではなくて、クリエイティブな集団の産物なのです。映像制作でも、異なったジャンルの専門的なクリエイターが集まって、新しい集団を形成することで、新しいものを作る可能性が生まれると思うのです」

アマゾンの社風は。
 「風通しがすごく良い。給料体系も年功序列ではありません。例えば、4月に入社した新人の企画が通って、9月にはその新人がディレクターとして番組を作ることもあります。『入社したら何年かは修業の期間だ』ということはありません」

映像制作における最前線の状況をどのように見ていますか。
 「例えば、劇団☆新感線の演劇を、新橋演舞場で10数台のハイビジョンカメラを駆使し、映画的手法で撮影して上映していることに衝撃を受けています。これは、完全に演劇と映画の境目を破ったということです。また、映像機器のデジタル化が進み、フィルムの工程を経ない映像制作が、いろいろな局面で行われるようになっています。ビデオで育ったクリエイターが、その力を映画として発表できるチャンスが増えています。デジタルでものを考え、デジタルで撮って、デジタルで編集して、そのようなノウハウを身につけた制作者が活躍できる場が多くなると思います。全国の映画館のスクリーン数は3000を超えました。この半分はシネコンですが、デジタルスクリーンの映画館の数も増える傾向です」
 「当社が担当して、07年4月スタートの『地球アゴラ』(NHK BS1,月2回各50分放送)は、これまでになかった番組です。NHKのスタジオと、世界各地で生活している日本人をウェブカメラで結び、身近なニュースや、現地で関心を呼んでいる話題などについての“お茶の間感覚”の会話を楽しむものです。このウェブカメラが映す映像は、限りなくパーソナルなものものです。“デジタル”というものは、限りなくパーソナルな方向に進んでいるのではないかと思います」

(2007年12月)


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