アマゾンは、このたびラテルナとの間で資本提携を結び、業務の提携を図るとともに、テレビ番組はもとより劇場用映画をはじめとするデジタルコンテンツなど広範な映像製作をめざすことになった。
(株)ラテルナは、映画の興行と配給を事業とする(株)ティ・ジョイを中心に東映アニメーション(株)、東映ビデオ(株)、(株)東映エージェンシーの東映グループ4社の企画製作部門として昨年12月に事業を開始、以来『チェスト!』、『MONGOL』、日米韓合作の『The Harimaya Bridgeはりまや橋』、『ぼくとママの黄色い自転車』などを手がけている。
今回の提携の契機となったのは、アマゾンが製作した映画『佐賀のがばいばあちゃん』である。この作品の配給をティ・ジョイに引き受けていただき、大ヒットに導いていただいた。正確で先進的な戦略と組織論を持ち、ゲキ×シネのブランド化を成功させ、良質な映画を配給するこの会社のあり方は、いつもわたしに刺激を与えてくれた。
ティ・ジョイが経営する全国14サイトのシネコンのすべてにデジタルスクリーンが常設されてあり、ハリウッドをはじめとする作品のデジタル化の流れに対応すると同時にユーザーのニーズに応えるデジタルコンテンツの開発にも積極的に取り組んできた。
アマゾンもまた、テレビ番組制作で得たデジタル的発想を生かした非放送系のコンテンツ作りと『佐賀のがばいばあちゃん』で体験したロイヤリティビジネスのチャンスを模索していた。2011年の地上波デジタル化へ向けて、放送業界も放送単位で完結する「番組」からマルチに拡がる「コンテンツ」へと転換する時代となった。製作会社にとっては、一つのコンテンツを核にして放送、劇場上映、NET配信、DVD販売と多メディアでの展開がもはや必須な事業戦略として認識しながらも、受注発注の構造では困難な資金力と市場生産構造に伴うマーケティング力、そしてコンテンツの流通力をいかに確保するかが最大の課題だった。
ラテルナを子会社化して代表に就いたティ・ジョイの與田尚志常務から今回の提携の提案をいただいた時、わたしは即座にお引き受けした。デジタル時代の新しい組織論を創る格好のチャンスと思った。常に新しく、流動性のある組織でなければ、決して魅力的で面白いものは生まれない。
そして、わたしは仕事の幅を広げるだけでなく、作り手の人生の幅を広げていく機会だと信じている。
(2008年9月)