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【第56回】 『アファンの森の物語』
倉内 均
 長野県黒姫にあるアファンの森で撮影した番組が放送される。9月5日BS朝日20時からの1時間番組である。
 20数年前、放置され荒れ果てていたこの森がC・W・ニコルさんたちの手によって再生し、いまや日本を代表する美しい森となってきた歴史は、同時にわたしたちの会社アマゾンと重なる年月でもある。アマゾン設立の時期に『C・W・ニコルのおししい博物誌』を制作し、CS放送の始まりの時代には『冒険家の食卓』、さらには全日空の機内ビデオ『eco-flight』など、新しい分野に進む節目となるとき、いつもわたしたちはアファンの森にいた。そうして、これまで100本近い番組がこの森から生まれている。森の変容と進化はアマゾンのそれと一緒だと思いたいくらい、深いつながりを感じる。
 そして今回、自然環境保護に力を入れる(株)リコーの一社提供で番組が誕生した。それが『アファンの森の物語~春・夏編』である。歌舞伎俳優の市川團十郎さんをゲストに迎え、タマゴダケやイワナ、鹿肉など森の恵みをニコルさん自らの料理でもてなし、自然と日本文化との繋がりについて多いに語り合った。なかでも、團十郎さんの歌舞伎からみる文化論は面白かった。曰く、歌舞伎が着物文化を育てるなか、良質の絹を手に入れるために手塩にかけた養蚕が大事になり、舞台で履くわらじのためには背丈の高い藁になる米作りも必要になる、という文化の連鎖についてのお話だった。これはちょうど、フクロウが頂点にいて生態系のバランスが成り立っている森の連鎖と重なっている。
 健康な森はなにより心とからだの癒しの場所だとニコルさんは言う。番組の最後に二人は森の中のコナラの木の前に立った。ニコルさんがマザーツリーと呼ぶ、風格を備えた木だ。この木の周りのマイナスイオンは6000個を数えるという。通常の森林浴が2500個というから、さすがにマザーツリーといわれるだけのことはある。團十郎さんは思わず抱きつくようにコナラに寄り添い、マザーツリーの声を聴こうとした。森の民族だった原日本人の姿を見るような光景だった。
 番組はこのあと「秋・冬編」も予定されている。そしてさらに、アファンの森を拠点にして、アマゾンは新しい試みに進もうと考えている。

(2009年9月)


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